こんにちは、いの です。
バック、チェーン、フェザー、コーラル、フレンチノット・・・
これ、一体なんの名前だと思いますか?
答えは刺繍(ししゅう)のステッチ(=縫い方)。
先日、刺繍のワークショップに参加し、久々に針と糸を手に格闘してきたので
今回はその時の様子をお届けしたいと思います。
私がはじめて刺繍針と糸を手にしたのは、中学校の家庭科の授業。
刺繍というと、深窓の令嬢がお屋敷の窓辺(出窓にレースのカーテン)で、
小鳥のさえずりをBGMにたしなむ趣味、みたいなイメージがありました。
テーブルの上にはアフタヌーンティーのセット、部屋の片すみにはピアノ。
お嬢様が花嫁修業の一環として、真っ白なハンカチーフの隅に、繊細な
ピンクの薔薇を少しずつ縫い上げていく・・・文学少女たった私はそんな
幻想を抱いて刺繍と出会ったわけですが、幻想はしょせん幻想。
木でできた刺繍枠に布をはめこみ、それを頭にかぶって「アラブの石油王
みたいじゃない!?」と盛り上がるようなナイスな女子校仲間と共に、
期限内にどうにかこうにか課題を提出するためにがんばった・・・最終的には
そんな記憶しかありません。
やがて月日は流れ流れて、今に至ります。
定時後、社内の会議室に講師の方をお招きして、開催されたワークショップ。
コラムのネタになるかな~?と軽い気持ちで足を踏み入れてみると、
まず目に飛び込んできたのは、鮮やかな色とりどりの刺繍糸!
これらのカラフルな糸とさまざまなステッチの組み合わせで、好みの図案を
作り上げるのが刺繍の醍醐味!とはいえ、初心者ですので今回は用意して
いただいた図案のなかから、「一番カンタンなのはどれですか!」と堂々と
お伺いして選んでみました。背伸びすると絞まるのは自分の首です。
お手本の図案たち。これをハンカチやランチョンマットに刺繍していきます。
まずは基本のステッチを練習。
そして選び抜いた図案を、転写シートを使って布に写します。
イチから絵を描けなんて言われたら、絵心を母の胎内に置き忘れてきた私は
あきらめて終わってしまうところでした。
生徒を脱落させない素晴らしいワークショップです。
そして使いたい色を決めたら、あとはひたすら縫うべし!縫うべし!縫うべし!
それまではきゃっきゃうふふ、と他の参加者と共に談笑しながら進めていたん
ですが、ひとたび針を握ると気付けば全員無言。ひたすら無言。
ちくちくちくちく・・・と針を動かす音だけが(本当は音なんてしませんが)
部屋の中に響くのでした。刺繍はまるで座禅のように、人を無の境地へと
追いやってくれるようです(座禅したことないですが)。
ちくちくすること約1時間。
完成したのがこちら!
小鳥が仕上がって時間が余ったので、勢いでお花にもチャレンジしてみました。
配色センスの有無はさておき、がさつな手付きで挑んでも、なんとなーく
見られる仕上がりになるのがありがたいです。
ちょっと曲がっていても、だいぶ大きさがふぞろいでも、“味がある”と
表現してしまえば万事解決オールオッケー!
「自分、不器用なんで・・・」とためらっているそこのあなたにこそ、
おすすめしたいです刺繍。
講師の方には「みなさん、お仕事後なのに元気ですねぇ」と感心されましたが
日ごろパソコンとにらめっこしながら仕事をしている我々にとって、布を手に
ひと針ひと針ゆっくりと、自分の思い描いたものを形にしていく作業は、
むしろ頭と心をリラックスさせるのにちょうど良かったようです。
「この前、スミレを刺繍したんです」
「今度、フクロウを作ろうと思ってて・・・」
なんていうハイレベルな同僚たちには遠く及びませんが、次回はもう少し
難易度の高い図案に挑戦してみようかな、と思ってます。
我らがナビックを刺繍で作ったら可愛いと思うんですが、いかがでしょう?
それでは、また来週。